現役FPが学資保険をおすすめしない3つの理由とは?メリット・デメリットを知ろう!

教育費に備えるための貯蓄型保険である学資保険

学資保険を利用しようと考えていた矢先、「学資保険はおすすめしない」と言われて不安になっていないでしょうか。

実際、学資保険はおすすめできるケースもありますが、おすすめできないケースもあります

学資保険が必要かどうかは、学資保険の仕組みやメリット・デメリットなどをきちんと理解して判断しなければなりません。

そこでこの記事では、なぜ学資保険はおすすめしないのかなど、メリット・デメリットを紹介します。

実際にどうやって教育費の備えをすれば良いかもわかりますので、ぜひ参考にしてみてください。

\この記事を書いたのは/

●山崎謙司
ファイナンシャルプランナーとして大手金融メディアでの執筆実績多数。
「子どものお金の教育」から「教育資金の備え」まで、子育ての悩みにアンサーを届けます。

そもそも教育費はいくら必要なの?

状況によって異なるものの、高校まで公立、大学は私立文系大学の場合、教育費の総額は約1,200万円です。

高校までは家計収支(キャッシュフロー)でまかない、大学では家計収支(キャッシュフロー)で不足する分を貯蓄や学資保険によって備える方法が一般的と言えます。

進学先がわからないためあくまでも目安ですが、お子さんが高校を卒業するまでに500万円貯めることを目標にしておくと良いでしょう。

もちろん、私立小中学校や医学部への進学を希望する場合はさらに高くなります。

学資保険をおすすめしない3つの理由(デメリット)とは?

それでは、「学資保険はおすすめしない」と言われる理由である学資保険のデメリットについて確認していきましょう。

学資保険の3つのデメリット
  • 返戻率が低い(運用利回りが低い)
  • 学資保険は途中解約すると元本割れしてしまう
  • インフレ(物価上昇)リスクを負っている

返戻率が低い(運用利回りが低い)

返戻率とは、払込保険料総額に対する受取保険金総額の割合です。
つまり100%超えだと利益、100%未満だと元本割れ(損失)と認識できます。

仮に返戻率が100%超えであっても、実際に払込保険料を回収できるのは最後の保険金が支払われるときです。

つまり、資産運用(投資)の観点からすると、約20年運用した結果、損益率が5%程度になるのが学資保険です。

単利で計算した場合でも、1年当たりの利率は0.25%となります。
もっとも、学資保険はそもそも投資ではないためこのような見方をすべきではありません。

学資保険は途中解約すると元本割れしてしまう

学資保険の仕組み上、払込んだ保険料の一部で保険会社の事業経費を負担しています。
そのため、途中解約するとほとんどの場合は元本割れしてしまうのです。

ちなみに、満期になると返戻率が100%を超える場合があるのは、保険会社が投資をしているからです。

保険会社はプロの投資家(機関投資家)であり、保険料をもとに投資を行っています。
その運用益を含めると、20年後には返戻率が100%を超える場合があるのです。

ちなみに、保険は流動性が悪いと言われることもありますがその表現は適切ではありません。

流動性というのは売買(換金)のしやすさのことですが、学資保険はいつでも解約ができ、払戻金は提出書類が保険会社に到着してから5営業日以内に支払われます

インフレ(物価上昇)リスクを負っている

一般に、学資保険の満期保険金額は固定されてしまうため、保険期間中に物価が上昇すると価値が目減りすると言われています。

ここで、学資保険で払込保険料総額と保険金受取総額がどちらも100万円としましょう。

本来は天候の影響を排除するためリンゴを参考にすべきではありませんが、例えばお子さんが0歳のときにリンゴが100円だとします。

保険金を受け取る約20年後、インフレがなければ保険料総額でリンゴを1万個買うことができます。

一方、もしインフレによりリンゴが200円になると、リンゴは5,000個しか買えないのです。

つまり100万円の価値がリンゴ5,000個分に半減してしまったことになります。
もっとも、次の理由から保険がインフレに弱いと断言することは難しいです。

保険とインフレの関係
  • 配当ありの学資保険ではインフレによって配当が生じることがある
  • 配当はインフレ時の利率で利息が付く可能性がある
  • 保険料の原資となる給料もインフレによって上昇していることがうかがえる

学資保険の3つのメリットってなに?

学資保険には次の3つのメリットがあります。

デメリットだけでなく、メリットもきちんと把握しておきましょう。

学資保険の3つのメリット
  • 親に万一のことがあっても教育資金を準備できる(保険料払込免除)
  • 生命保険料控除の対象なので節税効果が見込める
  • 途中解約しなければ元本割れもせず預貯金より高い利回りを得られる

親に万一のことがあっても教育資金を準備できる(保険料払込免除)

預貯金や投資にはない学資保険だけが持つメリットが、保険料払込免除という保障機能です。
これにより、親に万一のことがあっても設計通りに保険金が支払われます

この保障機能を実現するため、これまで紹介してきた運用利回りの低さや途中解約での元本割れといったデメリットが生じているのです。

生命保険料控除の対象なので節税効果が見込める

学資保険は、所得税や住民税の負担を軽減する措置「生命保険料控除(新一般生命保険料)」の対象です。

具体的には、1年間に支払った保険料の一定額だけ課税所得を抑えられます。
下表に所得税の場合の控除金額の計算例を示しました。

年間払込保険料

控除金額

2万円以下

全額

2万円超え4万円以下

保険料×1/2+1万円

4万円超え8万円以下

保険料×1/4+2万円

8万円超え

一律4万円

なお、上記のとおり所得税の場合は一般生命保険料の控除限度額が4.0万円ですが、住民税の場合は2.8万円となっているため注意が必要です。

実際のところ、節税効果が期待できると言ってもインパクトは低めと言えます。

途中解約しなければ元本割れもせず預貯金より高い利回りを得られる

保険商品や契約条件によるものの、途中解約をしない限り元本割れもせず預貯金より高い利回りを得られます

つまり、途中解約をしないという条件さえクリアすれば、積立定期預金と比べると学資保険のほうが保障機能もあって利回りも良いのです。

 


教育資金についてFPに無料相談

学資保険をおすすめできるケースとおすすめできないケース

学資保険のメリットは、大まかにいうと契約者(パパまたはママ)の万が一に備えながら強制的に教育費を貯蓄できることです。
満期まで解約しないことを前提とすれば、預貯金より利回りが高い点もメリットと言えます。

一方、学資保険のデメリットは途中解約すると元本割れが生じる可能性があることです。

以上を踏まえ、学資保険をおすすめできるケースは次のように言えます。
また、おすすめできないケースは以下に掲げている場合と逆のケースです。

学資保険をおすすめできるケース
  • 貯蓄が500万円以下
  • 資産運用(投資)の経験や実績がない
  • 資産運用(投資)を始める予定がない
  • 貯蓄が苦手
  • 家計収支が比較的安定していて途中解約の可能性が低い

学資保険の返戻率を高める方法5選

学資保険を活用して教育資金に備えるのであれば、返戻率は高いほうが嬉しいはずです。
そこで、学資保険の返戻率を高める方法を紹介していきます。

学資保険の返戻率を高める方法5選
  • 子どもが0歳のときに学資保険を契約する
  • 一括払するか保険料払込期間を短くする
  • パパとママどちらかが契約者となるか検討する
  • 医療特約をセットしない
  • 保険金は遅く分割して受け取る方法を選ぶ

なお、返戻率を高める方法ではないため紹介していませんが、契約者(パパやママ)に万が一のことがあった場合は保険料の払込が免除されるわけですから、当然に返戻率は高くなります。

方法①子どもが0歳のときに学資保険を契約する

学資保険は、保険料を早く支払うほど割引率が適用され、保険料が安くなります

そのため、お子さんが小さいときに契約することで返戻率を高められます。

方法②一括払するか保険料払込期間を短くする

保険料を早く支払うために、一括払するか保険料払込期間を短くするというアプローチもあります。

保険料を早く支払うことで保険料の割引を受けることが可能です。

また、1年分以上の保険料を支払った場合には前納扱いとなり、所定の利率で利息を付けてくれます(実質的に割引)

方法③パパとママどちらかが契約者となるか検討する

実は、パパとママどちらが契約者となるかで返戻率(保険料)が変わる場合があります

その理由は、保険料を計算するときに用いられる死亡率などが男女で異なるためです。
もっと言えば、保障を受ける可能性(リスク)の高い人ほど保険料が高くなる原則があります。

保険商品や条件によって男性と女性どちらの保険料が安くなるか異なりますので、保険会社に相談してみましょう。

なお、生命保険料控除については「実際に支払った人」が受けられます。

返戻率と節税効果が相反する場合もあるため、どちらが良いか迷った場合はファイナンシャルプランナーに相談すると良いでしょう。

方法④医療特約をセットしない

学資保険のなかには、オプションとなる特約をセットできる場合もあります。

医療特約がその主な例ですが、特約もその分の保険料を負担しますから、返戻率が下がります。

さらに、特約は他の保険契約と内容が重複する可能性もあることに注意が必要です。

方法⑤保険金は遅く分割して受け取る方法を選ぶ

保険金の受け取りを遅くするほど、その期間だけ保険会社は運用できるため返戻率が高まります。

入学時などに祝金を受け取れるものがありますが、必要性は十分に検討しましょう。

 

学資保険に関するよくある質問【Q&A】

学資保険に関するよくある質問をまとめましたので、ぜひ理解を深めるため参考にしてください。

Q1.学資保険はなんのため?どう使うの?

学資保険は、教育資金を確保するために利用する貯蓄型保険です。

Q2.学資保険は元本割れするって本当?

支払った保険料は保険の運営経費や他の保険契約者への保険金にも使われるため、特に契約初期に解約すると元本割れする可能性が高くなります。

Q3.学資保険の保険料は月々いくら?

保険金額や保険会社の経費率(事業費率)、契約者の性別や年齢、保険料の払込期間などによって異なります。

詳しくは保険会社に聞いてみましょう。

Q4.学資保険の保険金はいつ貰えるの?

一般的には、小学校と中学校、高校、大学の入学時に祝金として保険金額の一定割合を貰えます。

また、被保険者(子ども)に万が一のことがあったときにも一定額の保険金を受け取れます。

Q5.学資保険に入っている家庭の割合は?

世帯加入率は不明ですが、学資保険は預貯金(銀行預金)の次に多く選ばれているようです。

このような教育費などに対する経済的準備としてどのような対応や準備手段をお考えですか。

収入:85.5%
預貯金等:29.9%
学資保険:20.7%
奨学金など:9.5%

※1492名が回答

公益財団法人 生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査

 

銀行預金:60.6%
・学資保険:42.1%
・財形貯蓄:11.2%
・金融投資:11.0%
※748名が回答

ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2022

Q6.そもそも学資保険に入る余裕がない場合は?

そもそも学資保険に入って保険料を払込む余裕がない場合は、次のような点をチェックしてみてください。

家計収支のチェックポイントの例
  • 浪費をしていないか?
  • 電気代やガス代、通信費は抑えられないか?
  • 児童手当を貯められるか?

その他、教育資金がどうしても足りない場合は次のような制度の利用も検討すべきでしょう。

家計収支の赤字が一時的である場合は、キャッシングやローンでしのぐ方法もあります。

教育資金をまかなう方法など
  • お子さんにバイトをしてもらう(年齢による)
  • 奨学金の利用を検討する
  • 国の教育ローン(教育一般貸付)の利用を検討する
  • 生活福祉資金貸付制度の利用を検討する

Q7.つみたてNISAなど投資信託は学資保険の代わりになる?

学資保険はあくまでも保険(保障)であるため、投資信託やつみたてNISAと比べることは難しいです。

投資信託などは、保障機能の代わりにはなりませんが、教育資金に備える点では代わりになる場合もあります。

ただし投資信託は価格変動リスクなど保険よりも不確実性(リスク)が高いことに注意しましょう。

まとめ

学資保険は、途中解約による元本割れのリスクがある一方、保障を得ながら強制的に貯蓄ができるというメリットがあります。

途中解約となると学資保険のデメリットが強調されるため、家計収支が安定していない場合などはおすすめできません。

学資保険の検討にあたっては、途中解約によるデメリットを把握したうえで検討することが重要です。

ぜひこの記事を参考に、教育資金の備え方について検討してみてください。

 


教育資金についてFPに無料相談

 

CONTACT 掲載に関するお問い合わせ

まなびち公式SNS