エリクソンの8つの発達段階について解説|クリアすべき課題とその障害は?達成できないとどうなる?

この記事にはPRが含まれます

こんにちは。
年間15,000人以上の青少年を受け入れいている琵琶湖の自然体験施設BSCウォータースポーツセンターの小学生キャンプディレクターのたつやです。

人には8つの発達段階があると言われています。

エリクソンという発達心理学者が提唱した『発達段階論』を知れば、小児の子育てに役立つほか、人間の成長に必要な課題を把握できるでしょう。

まなびちがオススメする通信教育

本記事ではエリクソンが提唱した8つの発達段階論や、人間がクリアすべき課題などを解説していきます。

エリクソンの発達段階論(心理社会的・漸成的発達理論)とは

エリクソンの発達段階論(心理社会的・漸成的発達理論)は8つあります。

その発達段階論はどのような段階があるのでしょうか。

  • 乳児期(生後):0〜17ヶ月
  • 幼児前期:18ヶ月〜3歳
  • 幼児後期:3〜5歳
  • 学童期:5〜13歳
  • 青年期:13〜20歳
  • 成人期:20〜40歳
  • 壮年期:40〜65歳
  • 老年期:65歳〜

この8つの発達段階論(心理社会的・漸成的発達理論)について詳しく見ていきましょう。

乳児期(生後)|0〜17ヶ月

乳児期(生後)は親や周りの大人に愛情を受け、世話をされることで基本的な信頼を形成させる時期です。

課題【心理社会的危機:基本的信頼vs不信】
  • 母親や父親など特定の大人との間に、愛着関係の構築
  • 興味や関心の対象を広げていき、認知や情緒を発達させる
  • 身体の発達
  • 食事や排泄、衣服の着脱などの自立を可能にさせる
  • 食事や睡眠などの生活リズムが形成される

達成するとどうなる

きちんと愛情を受けて育ち、世話をされながら生きて育っていくことで、乳児期と関わる人の基本的な信頼感が構築されます。

信頼感が生まれることにより、乳児期には希望を得られるでしょう。

達成しないとどうなる

上記とは反対に、育児の放任により誰にも世話をされなかった乳児期は、周りに不安や不信感、自分に対する無力感を持ってしまいます。

希望を得られなかった乳児期は、今後の人生において多大な影響を及ぼしかねません。

幼児前期|18ヶ月〜3歳

幼児前期では周囲の人や物、自然などの環境と関わり、全身で感じることにつながる体験を繰り返すことで自我が芽生える時期です。

課題【心理社会的危機:自立性vs恥・疑惑】
  • 遊びなどの体験活動により道徳性や社会性を持つ
  • 自分と違う他者の存在やその視点に気付く
  • 自立性、挑戦欲の発達
  • 子ども同士の遊びなどの体験活動を通じた充実を知る

達成するとどうなる

幼児前期では、今まで周りがしてくれたことを自分でできるようになり、何でも自分でしたいという挑戦欲や自立性が芽生えます。

適切なチャレンジの機会があれば、「もっといろんなことをしてみたい」と思うことにより、自分の意思を得られます。

達成しないとどうなる

ただ、全てのことに周囲の人が手を出してしまうと、子どもの挑戦する機会を奪ってしまいます。

そして挑戦して失敗したことを非難や否定をされてしまうと、自律性は育つことはなく、逆に周囲が自分を信じてくれないという恥・疑惑が生まれてしまうのです。

幼児後期|3〜5歳

幼児後期では幼稚園や保育園での同世代の子供との関わりが増え、外の世界に興味を持つ時期です。

課題【心理社会的危機:自発性・積極性vs罪悪感】
  • 知りたいという興味の芽生え(「なぜ〇〇なの?」といったなぜなぜ期)
  • ままごとやごっこ遊びに夢中になる

達成するとどうなる

幼児後期では、遊びや関心があるものについての自発性・積極性が形成されます。

また、さまざまな事柄の「なぜ=目的」を知ることで目的意識という力を得られ、自分の興味があることへの追及ができるようになるでしょう。

達成しないとどうなる

子どもの自発性や自主性のある積極的な活動に対して親が嫌な態度を取ったり、厳しくしつけたりしすぎると、子どもは罪悪感を覚えます。
過度なしつけは子どもの罪悪感が強くなり、自発的な活動を妨げることに繋がってしまうのです。

学童期|5〜13歳

 

学童期では、小学校に通って勉強を始めとしたさまざまなことを習得する時期です。

自信をつけて自分には能力があると理解し、4年生くらいになると物事への認識が可能になっていきます。

自分のことも客観的に捉えられるようになり、発達の個人差も大きく見られる時期です。

課題【心理社会的危機:勤勉性(完成)vs劣等感】
  • 大人の言うことを守ることで、善悪についての理解と判断ができる
  • 言語能力や認識力が高まる
  • 集団の規則を理解して、遊びなどでは自分たちで決まりを作り、ルールを守る

達成するとどうなる

学童期では様々な課題に取り組むことで自分に能力があることを自覚し、「有能感」を得られます。

そのため自己肯定感を持ち始める時期でもあり、物事を達成することにより次の課題への勤勉性も見られるでしょう。

達成しないとどうなる

物事に失敗したり、苦手なことでつまずいたりすることも多くなるでしょう。

出来ないことを怒ったり否定するだけでは、子どもは「自分には無理だ」と劣等感を抱いてしまいます。

その際に周りの大人のフォローが必要です。

関連:【高学年】小学校5年生6年生の心の成長や発達段階の事情3選

 

青年期|13〜20歳

思春期である青年期は、自意識と客観的事実との違いに悩み始める時期でもあります。

様々な葛藤の中で自らの生き方を模索しはじめると共に、「自分は何者であるのか」を思う時期です。

課題【心理社会的危機:アイデンティティーvsアイデンティティーの混乱】
  • 人間としての生き方を踏まえる
  • 自分を見つめ、向上を図るなど自己の在り方に関する思考の発達
  • 社会の一員として自立した生活を営む力を育てる
  • 法やきまりの意義を理解する

達成するとどうなる

青年期では、自分らしさとは?自分は何をしたいのか?など、多くのことを考え悩みます。

「自分とはこうである」=「自我同一性」つまりアイデンティティーを確立できれば、自分自身の価値を信じ、それに対して貢献し応えようとする忠誠心の獲得が可能となるでしょう。

達成しないとどうなる

アイデンティティーを確立できなければ、自分は何者なのか?

何故存在しているのか?と悩み続け、アイデンティティーの混乱から抜け出せなくなるでしょう。

そのため現代では、青年期すべてに共通する引きこもりの増加といった傾向があります。

成人期|20〜40歳

成人期ではもう子どもではなく自分を確立していき、友人や社会、恋愛などにおいて信頼できる人たちとの仲を深めていく時期です。
結婚をする人も多い年齢層になります。

課題【心理社会的危機:親密性vs孤立】
  • 新たに自己をとらえ直し、組み直す
  • より広いアイデンティティに立って次の世代を導く
  • 子孫を生み出す
  • 親として子どもを育てることによる人格的発達

達成するとどうなる

成人期では、相手に自分を受け入れられるか、自分を否定されたときにどうするか?などアイデンティティの確立や孤独に立ち向かいます。

しかし、自分が自分を受け入れ、本当に信頼できる人と関わることにより獲得できるのが「愛や幸福」です。

エリクソンは親密性を「相手に自分を賭けても自分を失わない存在」と表現しました。

達成しないとどうなる

成人期には苦悩を通して自分自身の人生において、意味あることと捉えられるか否かという意味づけが重要です。

青年期までの発達課題を順調に克服できなかった場合、自己を確立できず、他人と積極的に関わることができません。

表面的な付き合いしかできなかったり、人との関わりを拒絶したりして孤立に陥ってしまうでしょう。

壮年期|40〜65歳

壮年期では、次の世代を支えていくものに積極的に関心を持つ「世代性」の発達が重要です。

課題【心理社会的危機:次世代育成能力vs停滞】
  • 後世に貢献できるようなことを生み出す
  • 自分の経験から後輩に伝えること
  • 次世代を見越し、行動すること

達成するとどうなる

過去に家庭や職場などで上の世代から学んだことを活かし、子どもや孫など下の世代に伝えていけば、「世話」の能力を得られます。

壮年期の後半では孫の子守りを任されることも多く、次の世代に関わるきっかけになり、精神の健康にも繋がるでしょう。

達成しないとどうなる

世代の繋がりを持たなかったり次の世代のことに興味がなかったりなど、自分の世代のことだけ考えていると「停滞」と呼ばれる状況に陥ります。

次世代に何を残すか意識した生き方ができていないと、自分が存在する意味が分からなくなってしまうのです。

老年期|65歳〜

老年期では多くの人が退職し、子育てを終えて老後の生活を始める人が多いです。

課題【心理社会的危機:自己統合vs絶望】
  • 自分の人生の意味を見い出す
  • 人生に上手く折り合いをつける
  • 前の世代から次の世代へと伝承していく大切さを実感する

達成するとどうなる

壮年期までの発達課題をクリアしていれば、老年期で「賢さ」を得られます。

自分が想像していた人生と違っていても、大きな歴史の流れのなかで「自己統合」という自分の人生の意味を見い出せるでしょう。

達成しないとどうなる

前の世代から受け継いだものや次世代に残せるものもないと、自分が存在した意味を確認できず「絶望」に陥ってしまうでしょう。

自身の死に直面しても、自分の人生には意味があったのだと納得できず死を受け入れられなくなります。

 

エリク・H・エリクソンが提唱する発達段階論とエリクソンの生涯について

エリクソン・H・エリクソンは1902年にドイツで産まれた発達心理学者です。

1950年に「幼少期と社会」という発達段階論を記した本を出版し、「人間の8つの発達段階」について自我が社会と結ぶ関係について発表しました。

エリクソンは1994年に生涯を終えましたが、生前は何冊もの本を出版しています。

精神分析や心理学へ大きな影響を与えた心理学者の一人です。

ドイツ出身・アメリカの発達心理学者エリクソンが発表した論文

では、エリクソンが定評した理論にはどんなものがあるのでしょうか?

エリクソンが提唱した論文が主に記されている本は、「幼少期と社会」、「アイデンティティとライフサイクル」、「ライフサイクル、その完結」です。

1.『心理社会的発達理論』
この理論は、人間が8段階ある発達段階で「心理社会的危機(発達課題)」を克服して力を得ながら成長するという理論です。

・幼少期と社会
エリクソンが幼児期の特性を身体的・精神的・社会的な視点で研究を行った論文が記されている本です。
乳児期から老齢期まで8段階ある心理社会的危機(発達課題)や、8段階ある発達段階について詳しく書かれています。

・アイデンティティとライフサイクル
この本ではエリクソン初発の論文が詳細に記されています。
第一論文の自我の発達と歴史的変化、第二論文の健康的なパーソナリティーの成長と危機、第三論文自我アイデンティティの問題といったエリクソンの主要である論文が3つ記されています。

・アイデンティティ その完結
エリクソンが老年期に記した論文です。
上記に挙げた8つの発達段階に加え、エリクソンの妻により9つ目の発達段階「老人的超越」が提唱されています。

心理学者のフロイトに学び、精神分析家として研究に没頭する

フロイトとは精神医学者、精神分析学者であり精神科医でもありながら、精神分析学の創始者です。
さらに精神分析を基本とする哲学の創始者でもあります。

フロイトは、外国人の子弟を対象にした実験学校で教師を勤めていました。
エリクソンはその過程でフロイトの弟子となり、教育分析を受けることになったようです。

その影響もあり、エリクソンの理論はフロイトの分岐となっています。
2人の観点の違いは人の発達を別々の観点から捉えたところです。

フロイトは人の発達を性的関係から捉え、心理を生理学的観点から捉えました。
それに対し、エリクソンは人の発達を社会や人間関係から捉えました。

自身の差別経験やアメリカでの経験からアイデンティティーの形成について発見

エリクソンには生後、父親はいませんでした。
しかし、母親がユダヤ系デンマーク人だったことから北欧系の風貌をしていたため、ユダヤ系の社会やユダヤ教の教会で逆差別を受けました。

また、ドイツ人コミュニティからはユダヤ人であるという理由で差別を受け、二重の差別を受けて育ったのです。
その差別により、「自分が何者なのか」と悩むきっかけになりました。

上記の差別に加え、アメリカでは同一性とパーソナリティに苦しむ人物に会っていた事が彼の「アイデンティティ」の概念を発見した契機とされています。

なぜエリクソンの発達段階論は発見されたか

エリクソンは、イェール大学の人間関係研究所で文化人類学者たちに出会ったのをきっかけに、精神分析に文化人類学を取り入れることを思いつきました。
発達心理学者として幼児の心理の研究から始め、青年期、成人期、老年期へとその関心を移していったのです。

その成果が上記で挙げた、発達段階説の原点となる名著『幼年期と社会』です。

 

エリクソンの発達段階まとめ

エリクソンの発達段階論は子どもから高齢の方まで役立ちます。

ここまで解説してきたように、エリクソンの発達段階説は人の生涯を全体的に網羅しているため、子どもから両親や祖父母世代にも生き方の指針を示してくれます。

この発達段階論は特に子育てに役立ちますが、高齢の方にも学ぶ点があるのではないでしょうか。

子どもだけではなく親自身も年齢を重ねていくので、それまでうまくいっていた生き方が通用しなくなることもあります。

そんなときはこの記事でご紹介したエリクソンの発達段階説を参考にしてみてください。

まなびちがオススメする通信教育

CONTACT 掲載に関するお問い合わせ

まなびち公式SNS