ギフテッドの子どもが持つ特徴とは?判断基準や発達障害との違いを解説
- ギフテッドってどんな特徴があるの?
- ギフテッドかどうか、どうやって調べるの?
ギフテッドについて、上記のような疑問を抱く人もいるでしょう。
この記事では、ギフテッドの子どもが持つ特徴について4項目に分けて説明します。
ギフテッドの判断基準や種類、発達障害との違いも徹底解説。
ギフテッドの子どもへの接し方やよくある疑問もまとめました。
ギフテッドについて知りたい人はぜひ参考にしてください。
目次
ギフテッドとは?特徴の出やすい4項目に分けて解説
ギフテッドには、小さい頃から特徴が見られるケースが多いです。
海外では先進的な取り組みがされていますが、日本でもギフテッドの子どもに対する指導・支援のあり方が検討されています。
令和3年に行われた文部科学省のアンケート調査では、ギフテッドに関する子どもの特徴が具体的に示されました。
ここではアンケート事例から、ギフテッドの持つ特徴を4つに分けました。
- 知能
- 芸術
- 想像性
- 行動面
以上の項目別に詳しく解説します。
知能面で突出した才能を示すタイプの特徴
ギフテッドの中には、学習面でずば抜けた才能を見せるタイプがいます。アンケートで見られた具体的な特徴は下記のとおりです。
- 3歳でひらがな・かたかなを覚え、100ページの本を1、2時間で読む
- 1歳で絵本や住所を覚え、外国語の習得も早い
- 3、4歳で論理的な会話を好み、5、6歳で大人の話の矛盾を突く
- 国語は偏差値70以上。多言語をあっという間に習得する
- 1,2歳から数字に興味を示し、小学2年で大学レベルの数学を学習する
- 図鑑や自然科学に興味を示し、小学3年で学会などで発表するレベルになる
- 4歳で進化論を覚え、8 歳で量子力学や相対性理論を理解する
- 他の子どもが疑問に思わないような、哲学的なことを深く考える
1歳から言語や数学、科学などで驚くほどの才能を発揮します。
もし、3歳前後でこのような特徴を持つ子がいたら、ギフテッドの可能性を秘めているかもしれません。
参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議
芸術面でクリエイティブな能力を発揮するタイプの特徴
芸術面で豊かな才能を発揮する子はギフテッドかもしれません。
芸術面で能力を見せるタイプの具体的な特徴は以下のとおりです。
- 2歳ごろから色に興味を持ち、多数の絵画賞を受賞。企業からの依頼も受けている。
- 1歳ごろからハサミを使い身近な形を切り出す。
- 3歳で立方体を書き、粘土での造形が得意
- 1歳からメロディーの裏拍で手拍子、一度聞いた歌を再現する。
- 3歳で数十曲歌い、小学生では初見で上級レベルの曲をバイオリンで弾く。
- 初めてのピアノは両手で弾ける。聞いた音楽をその通り演奏できる。
参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議
豊かな創造性を持つタイプの特徴
ギフテッドには、想像性が豊かで年齢以上の能力を発揮するタイプもいます。
具体的な特徴は以下のとおりです。
- 4.5歳ごろから深い疑問を持ち質問してくる
- 幼少期から言語習得が早く、大人との会話を好む
- 歌や物語を作るのが得意で、小学生でプログラミングやアプリ作成をする
参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議
行動面で特徴が現れることも
ギフテッドを持つ子どもは、特徴的な行動をすることがあります。
具体例は以下のとおりです。
- 興味のある分野に対し、記憶力が高い
- 興味のあることには何時間でも集中して取り組む
- 幼少期から興味ある分野の知識がすごく、専門的なことを話す
アンケート結果から、興味のある分野について徹底的に調べ、知識を吸収する子が多いと分かります。
同年代にはないような集中力を発揮することも。得意分野で大人顔負けの知識を持つのもギフテッドの特徴です。
参考:特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議
ギフテッドと判断される基準とは?
海外では子どもをギフテッドと判断する際の基準があります。
基準とされる項目を2つに分けてまとめました。
IQ130以上が目安
ギフテッドの目安は、IQ130以上です。
ギフテッド教育の盛んなアメリカでは、IQテストや学力テストの結果を判断材料にするケースが多いです。
日本でも同様に、IQ130以上の子どもがギフテッドと考えられています。
ずば抜けて優秀な得意分野がある
ギフテッドの判断に、ずば抜けて優秀な得意分野があるかどうかも重視します。
テストだけでは判断できない、得意分野を持つ子がいるためです。
ギフテッドの特徴でも解説したように、いろいろな分野で才能を発揮する子が多いです。
IQテストだけでは、突出した能力を測れません。
得意分野での成果なども、ギフテッドの判断基準としてチェックされます。
ギフテッドの種類とは?
ギフテッドを持つ子どもは2種類に分けられます。
ここではギフテッドの種類について、項目別に詳しく解説します。
オールマイティな英才型
ギフテッドには、オールマイティーな英才型が存在します。
このカテゴリーの子どもたちは、分野を問わず高い能力を発揮します。
英才型のギフテッドは、特に努力しなくても簡単に習得できるのが特徴。
頑張らなくてもなんでもできてしまう、生まれつきの能力を兼ね備えています。
授業を聞くだけでテストで100点を取ったり、自主学習のみで難関大学に入学したりするタイプです。
発達障害と組み合わさった2E型
ギフテッドと発達障害の両方を持つ、2E型の子もいます。
特定の分野に高い能力を持つものの、学習・生活面での困り感があり支援が必要なタイプです。
発達障害は生まれつきの脳の障害で、小さな頃から特性が現れます。
得意なことの知識量が多い反面、他の部分でフォローが必要なほど大変なのが2E型の特徴です。
2E型のギフテッドは、得意分野と苦手分野の差がはっきりしています。
例えば、英語が得意で多くの単語を知っていても、英会話でコミュニケーションを取るのは難しいことも。
知識として覚えるのは得意でも、社会性に乏しいので会話が成り立たないのです。
ギフテッドと発達障害の違いは?
ギフテッドと発達障害の違いについて、疑問を抱く人もいるでしょう。
ここでは、ギフテッドと発達障害を比較し、似ている面と違う面をまとめました。
興味の範囲や好奇心など似ている面も
ギフテッドと発達障害、両方に共通するのは、得意分野への強い興味です。
どちらも1つのことに集中して取り組み、ずば抜けた知識を持つ子どもが多いです。
ギフテッドが持つ強い興味や関心、行動力を「過度激動」と表現します。
知識豊富で好奇心が強いため、同年代の子と話がかみ合わないことも。
コミュニケーションが苦手な発達障害の特性と似ているように見られるかもしれません。
抱えている困難さのレベルが違う
ギフテッドと発達障害では、困難さのレベルが違います。
発達障害は生まれつきの障害であるため、ギフテッドの困り感とは違いがあります。
例えば、1人で好きなことに集中したいタイプの子どもがいたとします。
ギフテッドなら、集団行動になると気持ちを切り替えて行動できるでしょう。
しかし、発達障害を持つ子どもは、気持ちの切り替えが難しく嫌なことから逃げ出してしまうかもしれません。
発達障害児には、日常生活に支障をきたすほどの困難さがあるのです。
子どもがギフテッドかも?検査方法は?
子どもがギフテッドかどうか、日本ではWISC-Ⅳで検査可能です。
WISC-Ⅳは知能検査の一種で、子どもの能力を細かく分析できるテストです。
WISC-Ⅳは専門の資格を持った心理士・医師が行います。
テスト結果やテスト中の様子を加味し、総合的な判断がなされます。
WISC-Ⅳは、主に困り感のある子どもに勧められるテストです。
検査結果から子どもに合った支援方法のアドバイスが受けられます。
参考:杉並区ホームページ
ギフテッドの子どもに接する際の注意点
ギフテッドの子どもへの接し方で、成長に悪影響を及ぼすかもしれません。
周囲の大人が子どもを理解し、適切に対処すれば得意分野を伸ばしていけるでしょう。
ここでは、ギフテッドの子どもに接する際のポイントを3つ紹介します。
子どもの興味を制限しない
ギフテッドの子どもに接するときは、興味を制限しないようにしましょう。
発想を自由に広げる環境を用意すれば、能力をさらに高められるでしょう。
ギフテッドは、得意分野を持つ子が多いです。
大好きなことをしている時間が楽しいと感じる子も多いでしょう。
大人が「好きなことばかりやって」と否定的にとらえると、子どもの好奇心を妨げます。
自由にのびのび育てた方が能力を発揮できます。
気持ちの安定第一で接する
ギフテッドの子どもには、気持ちの安定を優先的に考えて接しましょう。
普段の生活でストレスを感じやすいため、リラックスできる時間が必要です。
脳と体が活発に動くギフテッドは、うつ病や精神疾患、アレルギーなどを起こしやすいと言われています。
本人は、好奇心に任せて行動するため、つらさを感じていない場合も。
家ではくつろげる環境を作り、オン・オフの切り替えをさせてあげましょう。
学校など周りの理解を得る
ギフテッドの子どもを理解してもらうよう、学校などへの働きかけも大事です。
誤解されがちな言動をしてしまうケースがあり、周囲のフォローが必要なためです。
知識豊富なギフテッドは、大人の話に疑問を持ち、間違いだと指摘する場面もあるでしょう。
教師の話の矛盾点を指摘し「生意気な子ども」と誤解されてしまうかもしれません。
また、周囲の子どもたちとなじめない可能性も。
能力が高すぎて会話がかみ合わず、変わり者扱いされる恐れもあるでしょう。
学校などで誤解を受けぬよう、子どもの特徴を知ってもらう必要があります。
親が先回りして伝えると、適切な支援を受けられ、子どもも過ごしやすくなるでしょう。
ギフテッドに関するFAQ
ギフテッドについて、よくある疑問をまとめました。
主な疑問を2つに絞り、詳しく解説します。
Q1.ギフテッドと頭のいい子の違いは?
ギフテッドと頭のいい子の違いは、努力したかどうかがポイント。
ギフテッドは生まれつきであるのに対し、頭のいい子は努力して獲得したケースが多いためです。
ギフテッドは、努力せずとも才能を発揮できます。
複雑な考えを好み、成績上位の子に大きな差をつけトップになるタイプです。
一方、頭のいい子は努力して良い成績を取ります。
集団生活にもなじみ、努力を惜しみません。
グループで上位の成績をとるものの、ギフテッドの子には追いつけないこともあるでしょう。
Q2.日本でギフテッド教育が受けられる場所はあるの??
日本にも、ギフテッド教育に力を入れている団体や学校があります。
主な場所は以下のとおりです。
- LEARN
- 渋谷区 ギフテッド教育プログラム
- Education Beyond
- 翔和学園 「ギフテッド・クラス」
学校教育とは別プログラムでギフテッド教育を行う団体や、学校教育の一環として取り入れている学校もあります。
子どもの能力を伸ばすために受講を考えるのもよいでしょう。
参考:LEARN
参考:渋谷区で動き出したギフテッド教育、協働する東大先端研と区長の思い
参考:Education Beyond
参考:翔和学園公式サイト
ギフテッドの特徴を生かせるよう周りの理解が大切
ギフテッドの子どもたちに見られる特徴や判断基準などを解説しました。
子どもがギフテッドかもと思ったら、判断の有無に関わらずのびのび育ててください。
もし、学校などで困難を感じていたら、自治体で行っている教育相談などを利用するのも一つの方法。
ユニークな子どもたちが才能を伸ばせるようサポートしていきましょう。