子供に最適な睡眠時間を文部省・厚労省データを元に徹底解説|子供が寝ないときの対処方法|成長ホルモンが出る時間は?
- 「子供がなかなか寝てくれない…。」
- 「睡眠時間が少ないとどんな影響があるの?」
このような悩みを抱えた方も多いでしょう。
睡眠不足になるとどんな問題が起こるのか、心配している親もいると思います。
また、子供が寝ないときはどうしたらいいのか、対処法なども知りたいですよね。
本記事では子供の睡眠について詳しく解説していきます。
子供の睡眠時間が短いと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
【文部科学省発表】子供の睡眠の現状
文部科学省が子供の睡眠時間の現状についてまとめたものがあります。
小学5学年から高等学校3学年までの学年ごとに調査を行ったものです。
この調査では深夜0時以降に就寝している中学生は22%を占めていて、10人に2人以上いることが判明しています。
そして高校生になると47%の学生が深夜0時を過ぎてから就寝しています。
睡眠不足を実感している子供も年代ごとに増えてしまっているのです。
睡眠不足になると朝ギリギリまで寝ている子供も増え、朝食を食べずに登校することも珍しくありません。
また、睡眠時間が少ない子供ほど、午前中のパフォーマンスが悪くなると回答しています。
学校から帰宅後の仮眠の有無と、「午前中調子が悪い」との関係についてみると、小学生、中学生、高校生のいずれも、おおむね仮眠をとることがあるほど、午前中調子が悪いことがある割合が高い。
引用:文部科学省:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)
参照:文部科学省:睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)
子供はなぜ睡眠が大切?睡眠不足がもたらす子供への影響
子供が睡眠不足になると、以下のような影響が出てきます。
- 集中力の低下
- 心が不安定になる
- 成長が遅くなる
順番に解説していきますね。
集中力の低下
子供の睡眠不足によって勉強に集中できなくなり、授業中も先生の話が頭に入らないこともあります。
また、ソワソワして落ち着きがなくなってしまうケースも多いです。
睡眠不足の状態が続くと勉強に対しての意欲もなくなり、次第に授業にもついていけなくなります。
集中力の低下は子供のやる気を阻害してしまうなど、悪影響を及ぼしてしまうのです。
心が不安定になる
子供は自分では睡眠時間を調整できません。
睡眠が足りていない状態だと些細なことでもついイライラしたり、八つ当たりしたりしてしまいます。
気持ちの制御ができずに、自分の心の調整ができません。
何か物事を考えようとしても思いつかず八つ当たりをすることで、どうにか解消しようとしてしまいます。
子供にとってもそんな状況がストレスになってしまい、余計に悪循環になる原因とも言えるでしょう。
成長が遅くなる
睡眠不足になると成長ホルモンが分泌されなくなり、子供の成長に悪影響を与えかねません。
例えば幼少期だと言語が乏しかったり歩くなどの行動が遅かったりなど、周りと比較したときに成長の遅れを感じることもあります。
小学校に入っても身長が伸びずに平均よりも小さい、同じ動作ができないなど成長面で悩みを抱える親御さんも少なくありません。
睡眠不足が続くと子供の成長が遅れ、子供にとってもコンプレックスになるケースもあります。
子供の適正睡眠時間は?
「0~3歳児の総睡眠時間」を調べたデータによると、日本の子供の睡眠時間は11時間37分となっています。
中学生になると平均睡眠が7時間になってしまい、十分な睡眠が取れているとは言えません。
NPO・全米睡眠財団のデータによると、子供は年代ごとに必要な睡眠時間が変わると言われています。
なお、3歳~5歳の幼児期には10時間~13時間程度が望ましいとされていて、小学生になると9時間~11時間、中学生・高校生は8時間~10時間が理想です。
ただしこのデータに基づいて考えても、幼児期は朝7時には起きると考えると遅くとも21時には就寝する必要があります。
小学生でも22時までの就寝が理想ですが、日本の共働き家庭が増えている状況では難しいかもしれません。
参考:https://diamond.jp/articles/-/218154?page=2
【厚生労働省発表】年代別睡眠の特徴と適正睡眠時間
厚生労働省が発表している年代別の適正睡眠時間は、子供の成長のために推奨される時間です。
しかし赤ちゃんは上手に睡眠をとれる子もいれば、なかなか寝付きが悪く短時間で起きてしまう子もいます。
ここでは子供の年代別の適正睡眠時間について解説していきます。
乳児期
乳児期の赤ちゃんは、もっとも睡眠時間が必要で、16時間から20時間眠ることがほとんどです。
この時期は寝たと思っても1時間ごとに起きてしまうことも珍しくありません。
また、ママの抱っこでないと寝れないなど、思うような睡眠が確保できない時期でもあります。
3ヶ月になると15時間前後になってきますが、2~3時間ごとに目を覚ますこともあるでしょう。
しかし、成長とともにまとまった睡眠に変わっていきます。
乳児期は睡眠のとりやすい環境を整え、日中はお散歩なども含め体内時計を整えていくことも必要です。
1歳・2歳・3歳
1歳以降は睡眠のサイクルができてくるので夜にまとまった睡眠を取り、お昼寝を入れて12時間程度の睡眠になります。
1歳や2歳のうちは、お昼寝に2~3時間とることも多いのですが、3歳ごろになるとお昼寝をしない子供も多くなるでしょう。
夜にまとまった睡眠を取り、日中はパワフルに遊んでいる姿も多く見られるようになります。
子供の体力がついてきた証でもあるのですが、親にとっては大変な時期かもしれません。
幼稚園や保育園などの集団生活で、睡眠のサイクルも安定するでしょう。
4歳・5歳・6歳
この時期の子供は保育園や幼稚園など、集団生活に入っている子供がほとんどです。
保育園だとお昼寝がありますが、幼稚園の場合はお昼寝がなく夜まで寝ないこともあるでしょう。
もちろん4歳を過ぎてもお昼寝をしている子供もいますが、個人差があります。
体力がついてくる年代でもあるので、日中の時間は外で思いっきり遊ばせるなど、疲れていないと夜中まで起きてしまう子供も多いです。
布団に入る時間を決めておかないと、睡眠のサイクルが乱れてしまいます。
小学生
1年生の7歳前後の時期は11時間~12時間ぐらいの時間は寝ています。
集団生活にまだまだ慣れていない部分もあり、疲れが出るともっとまとまった時間を寝る子供もいるでしょう。
小学生になるとゲームなどの遊びの割合が増えるので、夜更かし気味になってします子供が増えます。
翌日に学校があるとき、ないときで寝る時間が違う子供もいるでしょう。
中学生・高校生
この年代の理想的な睡眠時間は8時間以上です。
しかし、深夜0時を過ぎてしまう子供もおり、夜更しが原因で朝が起きられない、朝食を食べられないなどの支障が出る子供も増えます。
受験などで勉強が忙しく夜になってしまうケースもありますが、まだまだ成長期なので睡眠の時間を決めるようにするなど、ある程度ルールを決めておくのが理想です。
親に隠れて夜中まで起きてしまうこともあるので、親子で話し合う必要もあるでしょう。
子供が寝てくれないときの対処法5選
子供にどんなに言っても寝てくれないと親も頭を悩ませることになります。
ほっとくわけにもいかないと考えると、どうにかしたいと思いますよね。
子供が寝てくれないときにどんな対処法があるのか、紹介していきたいと思います。
子供が完全に寝付いてから離れる
子供がまだまだ小さいときは、親が隣にいないと寝てくれないことも多いです。
そのため、ちょっとだけ寝たタイミングに側を離れてしまうと、また起きてしまって寝かしつけを繰り返しかねません。
親も忙しいのでつい離れてしまう気持ちもわかりますが、子供が完全に寝付いてから離れることで、睡眠の質を高めることにもつながります。
子供が寝息を立て始めたら、しっかりと熟睡している証拠です。
繋いでいた手の力が抜けたなど、ちょっとした変化を感じるはずです。
完全に寝付いてから離れることで親の負担も軽減されますよ。
絵本を読んであげる
子供は寝るのが負けといわんばかりに、なかなか寝ようとしません。
なかにはベッドに行くのを嫌がる子供もいます。
そんなときは絵本を読んであげるのも一つの解決策ですね。
絵本を読んでいるうちにうとうとしてくることもありますし、それでも寝ないときは「この本を読んだら寝ようね」と約束しておくのが良いでしょう。
絵本も数種類用意しておき、子供に選ばせるようにします。
毎日大変かもしれませんが、絵本は子供の成長にも繋がりますし、安定した睡眠環境を作ることにも繋がります。
昼間に身体を使った遊びをする
子供の睡眠の質を高めたいときは、昼間は思いっきり遊ぶことも必要です。
昼間にダラダラ過ごしてしまうと眠気が起きず、中途半端な時間にお昼寝をしてしまいます。
休日なども朝早く起きてしっかりと身体を動かすことで、夜の睡眠の質も高まるでしょう。
家で一日中ゲームをしたり動画を見て過ごしたりする休日にならないように、親の意識づくりも重要です。
寝る前のゲームやスマホはやめる
今の子供はほとんどがスマホを持っている時代です。
友達とのやりとりをしていたり、インターネットを使ったりなど、あっという間に深夜を回ってしまうこともあります。
ゲームやスマホにはブルーライトがあるので、睡眠の質を低下させます。
できるだけ寝る30分前からスマホを使わないように工夫することも必要です。
寝る環境作りをする
子供の睡眠の質を高めるためには、環境を整えてあげることも大切です。
寝心地のいい寝具やパジャマや、寝るときにライトをつけて徐々に睡眠を促すこともできます。
寝るための環境作りができていないと、進んでベッドに入りたいとは思えません。
また、夜はシャワーでなくお風呂に入るなど、しっかりと身体を温めて体温が下がってきたときに眠くなるように調整してみてください。
子供は何時に寝たら成長ホルモンが出る?
子供の成長には、眠っている間に分泌される成長ホルモンも重要です。
今までは、夜10時~2時までが最も成長ホルモンが分泌されるゴールデンタイムとして知られていました。
そのため、夜9時には寝かすことが子供の成長に繋がると考えている人も多いのではないでしょうか。
近頃の研究では寝る時間ではなく、入眠後3時間で成長ホルモンが分泌するという説もあり、ゴールデンタイムは関係ないと話す専門家もいます。
ただし、確実な結果が出ているわけではないので、子供はできるだけ22時までには寝かせて、成長ホルモンを分泌するように促してあげたいものですね。
睡眠は学力にも影響する?
子供の睡眠は、学力にも影響すると考えられています。
一説によると、早く寝ていて睡眠時間がしっかりと取れている子供のほうが、学校の成績が良いようです。
逆に睡眠不足の子供は集中力がなく、落ち着いて話が聞けないので学力の低下にも繋がります。
勉強をするために日々の睡眠時間を減らしているご家庭もあると思いますが、子供にとっては睡眠時間も成長に欠かせません。
睡眠をしっかりととることも勉強のうちと考え、睡眠不足にならないようにしましょう。
子供の睡眠の国際比較
経済協力開発機構(OECD)が調べた「15~64歳の睡眠時間」によると、日本人の平均睡眠時間は1日7時間ということがわかりました。
これは加盟国のなかでも最も短い睡眠時間になり、いかに睡眠時間が不足しているかがわかるのではないでしょうか。
この背景に日本の夜型社会が進んでいること、共働きの家庭が多くなり両親の睡眠時間が減っていることも関係しています。
子供が睡眠不足になりやすい家庭は、両親ともに忙しいケースが多くどうしても睡眠時間が短くなってしまうのです。
先進国とも言われている日本で、子供の睡眠時間が減っているのは大きな問題とも言えるでしょう。
参考:https://diamond.jp/articles/-/218154?page=2
子供には十分な睡眠時間を取らせましょう!
子供の成長のためにも、十分な睡眠は欠かせません。
日々忙しい生活をしている親のなかには、どうしても子供の寝かしつけが遅くなってしまう、注意してもなかなか寝ないので諦めてしまっている人もいるでしょう。
睡眠不足は体調不良や心が不安定になるなど悪影響が出ます。
睡眠時間は日々の積み重ねでもあるので、子供の睡眠に向き合っていきましょう。