【HSP接し方】HSPの子供の特徴とチェックリストを解説|なぜHSPの子供は不登校が多い?HSCとの違いも解説

「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉が、SNSやTVニュース等で度々話題となっています。
昨今では、専用書籍やセルフチェックリストがインターネット上に掲載される等、HSPという単語を目にする機会も多いです。

周囲の状況に繊細かつ敏感なHSPの子供のなかには、生きずらさを感じたり不登校になったりする方もいます。
HSPの特徴を十分理解して、子供への接し方を覚えていくのがおすすめです。

今回の記事では、HSPの子供の特徴とチェックリスト、接し方等を徹底解説します。
本記事内では、HSPの子供の親におすすめの書籍に関する情報も掲載しているのでご覧ください。

HSPとはなに?HSCとの違いは?

HSPとは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字を取った言葉です。
繊細かつ敏感で、非常に感受性が高い気質をもった方を指します。

米国の心理学者エレイン・N・アーロン博士によって提唱されました。
HSPは医学用語でも病気でもなく、子供自身の気質であり個性です。
博士によるとHSPは人口の約20%、およそ5人に1人は気質をもっているといわれています。

お笑いタレントだけでなく、作家や経営者などさまざまな分野で才能を発揮しており、2021年3月には慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科修士課程を修了したロンドンブーツ1号2号の田村淳さんも、昨年、SNSでご自身が「HSP」である事を公表しました。
引用:https://www.nippku.ac.jp

また、似たような言葉で「HSC(highly Sensitive child)」があります。
アーロン博士によって提唱された言葉で、人一倍敏感な子供を指す言葉です。
HSPとHSCはPとC、いわゆる対象人物が大人か子供かで呼び方が異なります。

HSPの子供の4つの特徴

HSPの子供には、大きく4つの特徴があります。各特徴の頭文字から「DOES(ダス)」と名付けられました。
詳細は、次の通りです。

  1. D:深く処理する
  2. O:過剰に刺激を受けやすい
  3. E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い
  4. S:ささいな刺激を察知する

今回は、各特徴の内容をまとめました。

D:深く処理する

DはDepth of processing(深い処理ができる)の頭文字です。

少しの情報だけでたくさんの物事に考えを巡らせます。
あらゆる方向の物事を考えてしまうため、その後行動や結論を出すなど動き出すまでに時間がかかる傾向です。

O:過剰に刺激を受けやすい

Oは、Overstimulated(刺激を受けやすい)の頭文字になります。

とにかく繊細かつ敏感で、人混みや大きな音が苦手です。
例えば、友人たちと過ごしたあと気疲れを感じてしまいます。

また、些細な出来事を全面的にキャッチするため、過剰に驚くこともあります。
過去に他人から言われて傷ついた言葉を、ずっと忘れられません。

E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が強い

Eは、Emotional reactivity and high Empathy(感情的に反応しやすい・共感力が高い)の頭文字です。

他人(現実世界・映画やドラマの登場人物等)の感情や想いに反応しやすく、同じように悲しくなったり怒ったりします。

ただ、ニュースでの出来事を自分のことのように捉えてしまい、強い衝撃やストレスを感じる場合もあるようです。

S:ささいな刺激を察知する

Sは、Sensitivity to subtleties(些細な刺激に対する感受性)の頭文字です。

一見気が付かないような小さな変化や刺激を気にします。
冷蔵庫の稼働音や機械音、日光のまぶしさなど幅広いです。
刺激や変化に気づきすぎてしまい、気分が悪くなったり反応しすぎて気疲れすることもあります。

HSPのチェック方法は?

今回は、中央大学大学院心理学研究科高橋亜希氏の「Highly Sensitive Person Scale 日本版(HSPS-J19)の作成」で紹介されていたチェック項目をまとめました。

大きな音や雑然とした光景のような強い刺激がわずらわしいですか?
・大きな音で不快になりますか?
・一度にたくさんの事が起こっていると不快になりますか?
・いろいろなことが自分の周りで起きていると、不快な気分が高まりますか?
・明るい光や強いにおい、ごわごわした布地、近くのサイレンの音などにゾッとしやすいですか?
・忙しい日々が続くと、ベッドや暗くした部屋などプライバシーが得られ、刺激の少ない場所に逃げ込みたくなりますか?
・一度にたくさんのことを頼まれるとイライラしますか?
・短時間にしなければならないことが多いとオロオロしますか?
・他人の気分に左右されますか?
・ビクッとしやすいですか?
・競走場面や見られていると、緊張や同様のあまり、いつもの力を発揮できなくなりますか?
・強い刺激に圧倒されやすいですか?
・痛みに敏感になることがありますか?
・子供の頃、親や教師はあなたのことを「敏感だ」とか「内気だ」と見ていましたか?
・生活に変化があると混乱しますか?
・微細で繊細な香り・味・音・芸術作品などを好みますか?
・自分に対して誠実ですか?
・美術や音楽に深く感動しますか?
・豊かな内面生活を送っていますか?
引用:https://www.jstage.jst.go.jp

チェック項目は、全19個です。
各項目をみると、物事や状況に対する感じ方や心の状態などを尋ねる質問が多くあるのが理解できます。

チェック項目をみながら子供に該当するものか確認するだけで、今後の教育やお子さんへの接し方を見直すきっかけにもなるはずです。
本論文には研究に関する情報がより詳細に記載されています。
ぜひご覧ください。

Highly Sensitive Person Scale 日本版(HSPS-J19)の作成

HSPの子供への親の接し方3つのポイント

HSPの子供の特徴を踏まえたうえで、親は下記の3つのポイントに注意しながら接するようにしてください。
詳細は次の通りです。

  • 子供に共感してあげる
  • 子供の好きなやり方やペースに任せる
  • 子供に刺激を与えない

各ポイントの詳細をまとめました。

子供に共感してあげる

子供の考えや行動など、全てを受け止めて共感してあげてください。

「気にする必要ない」「気が弱い」「少し我慢すれば大丈夫」などの呼びかけは、子供のストレスに大きくつながる要素です。
子供に共感してあげるにはHSPまたはHSCへの理解度を高める必要もあります。
HSPの特性を理解することで、子供への共感度をさらに上げることも可能です。

子供の好きなやり方やペースに任せる

親は見守っていく形で、あくまでも子供の好きなやり方やペースに任せてみるのが大切です。

子供自身の好きな進め方を尊重してあげることで、余計な緊張や不安なく過ごせます。

HSPの気質をもつ子供は、深く物事を考え実行に移すため行動までに時間がかかることも多くです。
親としては、他の家族の子と比べて焦ってしまう方もいます。
焦らせるのではなく、子供のペースを尊重してひとつ一つを前に進めていくのが大切です。

子供に刺激を与えない

子供を他の家族のお子さんや自分の幼少期と比べたり期待を全面にアピールしたりするのはNGです。

HSPの気質をもつ子供の場合、「自分は他の子よりも劣っている」「両親からの期待に応えられていない」など落ち込んでしまいます。
ご自宅でも気が休まらない状態にならぬように、子供には余計な刺激を与えず優しく見守ってあげるのが大切です。

HSPの教育のやり方

今回は、HSPの子供に対する教育のやり方についてご紹介します。
本記事内では、次の2つの環境別にまとめました。

  • 学校の場合
  • 家庭の場合

各環境別の教育のやり方を把握し、今後の子供の教育に生かしてください。

学校での教育方法

面談などで先生と話をする際、あらかじめ子供の特徴やHSPに関する情報を伝えておくことをおすすめします。

学校では、先生が子供たちの1番近くにいる大人です。
先生の理解がないと、最終的に不登校につながる恐れもあります。
子供に何かあった際に適切なサポートや接し方をしてもらうためにも、まずは先生に伝えてください。

また、学校選びの時点でストレスをなるべく感じにくい環境を用意してあげるのも1つの方法です。
カウンセラーの有無や校風などをチェックしつつ、子供との相性を見ながら選びことをおすすめします。

家庭での教育方法

自宅では、子供の好きなペースに任せてあげるのがおすすめです。

家庭のなかでストレスや気疲れを感じないために、まずは本人が進めやすいペースに合わせてあげてください。

子供は、学校の集団生活のなかでたくさんの刺激を受けます。
HSPの気質をもつ子供には気疲れしてしまうことも多いです。
家庭では本人にあった方法とペースを進めることで、心から落ち着ける空間・場所作りが大切です。

HSPは大人になるとどうなる?

HSPの子供が幼い時期から大人になっても、大きな変化がないまま気質・個性として残り続ける可能性があります。
子供を取り巻く環境がより複雑になってしまう前に、HSPの特徴や対処法を自身で理解しておくと安心です。

HSC(highly Sensitive child=人一倍敏感な子供)・HSP(highly Sensitive Person=人一倍敏感な大人)と名が分かれるように、子供にも大人にも考えられる気質です。
実際、HSPの大人のなかには実は子供時代から特徴がでていた方も多くいました。

なぜHSPの子供は不登校が多い?

HSPの子供は、とても繊細かつ敏感です。周囲が気が付かないようなちょっとした変化や違和感もすぐに発見します。
他人の気持ちを敏感に感じ取り、共感できる優しさのある子供が多いです。

ただ、繊細・敏感すぎるが故に学校での集団生活のなかでストレスや疲れを感じる場合が多々あります。
自分がHSPの気質を持っていると知らない場合、他人と違うことに対しマイナスな感情を抱くケースもあるようです。

HSPの子供をもつ親におすすめの本

HSPの子供がいる親におすすめの本は、次の3冊です。
本屋や大手ショッピングサイトなどで購入できるので、ぜひお手に取ってください。

  • 「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細」さんの本(2018/7/25)
  • 敏感すぎて生きづらい人のこころがラクになる方法(2019/1/15)
  • 鈍感な世界に生きる敏感な人たち(2016/10/22)

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細」さんの本【PR】

 「繊細」さんの本は、50万部を突破したベストセラーです。

アマゾンの本ランキングでは、総合1位を獲得しました。

著者はHSP専門カウンセラー武田友紀さんで、彼女自身もHSPです。
本書籍では、専門カウンセラーならではの視点から書かれたすぐにできるテクニックが学べます。
HSPに関する書籍が多くて決められない方には、とてもおすすめの本です。

敏感すぎて生きづらい人のこころがラクになる方法【PR】

著者は、HSP臨床医長沼睦夫さんです。
今すぐ始められる実績的な方法を知りたい方は、ぜひ本書籍をご覧ください。

鈍感な世界に生きる敏感な人たち【PR

本書籍は、HSPのチェックリストや能力の詳細、抱えやすい心の問題等幅広い情報を網羅しています。
HSPの子供がいる親や子供自身にも読んで欲しい1冊です。

まとめ-HSPの特性を理解して適切な接し方をしましょう!

まずは、本記事や紹介した書籍を参考にしてHSPの特性を理解することからスタートするのがおすすめです。
特徴や特性、感じ方を少しでも理解してあげることは、HSPの子供への適切な接し方を学ぶことへも繋がります。

HSPの方のなかには、自身の状況に関してマイナスな気持ちになる方も多いです。
「気にし過ぎ」「気づきすぎて逆に怖い」など、周囲から正しく理解されずに苦しむ方もいます。

子供の一番側にいる親がまずHSPへの理解を深めて、正しい接し方や向き合い方、教育につなげてください。

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